5G通信に必要なフェイズドアレイアンテナとビームフォーミング技術

組み込みエンジニア
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こんにちは、ENGかぴです。

最近アンテナ勉強することがありアンテナと通信は表裏一体であると感じています。5G通信を実現するために必要なフェイズドアレイアンテナ技術とビームフォーミング技術と周波数帯域幅について勉強したことについて記事にまとめました。

5G通信に使用される技術

5G通信が実現すると大容量通信や超低遅延の通信ができるようになります。これが実現すると自動運転車が実現できたりローカル5Gによって産業界において自動化できるようになることから第四次産業革命であると言われています。

一般的に周波数が高くなるほど減衰しやすく遠くに飛ばしにくくなります。5G通信に使用する28GHzはWiFiの周波数帯である2.4GHzよりも高周波であるため電波が届きにくいともいわれています。2大欠点としては、

  1. 反射しにくく減衰しやすい
  2. 電波出力を上げると健康被害の可能性もある

があります。この欠点を補うためにフェイズドアレイアンテナ技術とビームフォーミング技術が採用されています。

フェイズドアレイアンテナ

フェイズドアレイアンテナのイメージ
フェイズドアレイアンテナのイメージ

フェイズとは位相のことでアレイは配列という意味です。つまりフェイズドアレイアンテナは、位相が制御できるアンテナを複数個配列して設置するアンテナです。この技術はイージス艦のレーダにも使用されています。

位相制御して様々な方向に電波を照射することができますが照射する際はアンテナのフェーズを配列ごとに制御を正確に行う必要があります。

電波を照射したい方向に配列上に配置されたアンテナそれぞれの位相を制御して同じ電波を出力することで左右の任意の方向に電波を飛ばすことができます。ただし、上の方向には飛ばすことはできません。

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ビームフォーミング

ビームフォーミングのイメージ
ビームフォーミングのイメージ

ビームフォーミング技術はWiFiでも通信距離を伸ばすために採用されている技術です。ただし、ビームフォーミング技術で通信する親機と子機の設置が必要です。

通常アンテナからは円を描くように電波が伝播します。これを無指向性といいますが、基本的には距離の二乗に反比例(球面であるため表面積は4πr²)して電波は弱くなります。

距離が2倍になると電波強度が4分の1になることになります。電波の強さを送信電力で考えたとき送信電力(ここでは球の表面積)を保ったまま距離を伸ばす方法を考える必要があります。

指向性を絞ることで球形状の電波を楕円形にすることで送信電力を保ったまま距離が伸ばせるようになります。これにより送信電力を保ったまま電波の届く範囲が広くなります。

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2つの技術のコラボで5G通信

5Gのためのアンテナのイメージ(フェイズドアレイアンテナ+ビームフォーミング)
5Gのためのアンテナのイメージ(フェイズドアレイアンテナ+ビームフォーミング)

フェイズドアレイアンテナ技術ビームフォーミング技術を組み合わせることで高周波数帯の電波が飛ばしにくい欠点を補いあっています。電波の球形状を狭くしてターゲットの端末に向けて照射すれば、距離も伸びて干渉問題も避けられるというメリットが得られます。

欠点を補ってはいるものの電波が届く距離が短いためアンテナが密集する可能性があり電波同士がぶつかって干渉する問題があります。受信する側にとって電波環境を保つために端末追跡機能を用いて電波が途切れにくい設計がされています。

市街地など建物が密集地帯などにおいては、電波が反射などでビームがまっすぐ飛ばずまだら状に出現します。電波の強弱がまだら状に出現する中で端末に電波を届けるため位相を調整を繰り返しながら通信強度を保つことになりそうです。

健康被害の可能性

電波を利用する以上健康被害は起こりえると思います。実際には電波アレルギーによって生活が困難になっている方や2.4GHz帯の基地局の近くに住む住民の健康被害も報告されています。中には訴訟問題にもなっている例もあります。

電磁過敏症などもあり電磁波を防止するエプロンやアクセサリーが売っているほどです。

基本的に送出する電波は人体に影響がない(水分子が揺れないような周波数)周波数帯域を利用していますが、通信距離を伸ばそうと送信出力を上げるほど影響は出てしまうことが考えられます。

5Gは電波が飛びにくいと言われていることから送信出力を上げることや基地局を増やすことになると思いますが、ノンスタンドアロン方式(現在のLTEインフラを利用する)方式で電波を飛ばすことが検討されているため送信出力を上げることになると思います。

基本的には問題ないと思いますが、5G電波の普及してきたときに体調不良を感じた場合は電波の影響を受けていることもあり得るので電磁波シールドを購入するなどしてみて様子を見てみると良いかもしれません。

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5G通信の電波で28GHzを目指した理由

電波について考えてみると、周波数は1秒当たりに正弦波が何個入るかを示したものになります。一般的に周波数が低いほど長い距離を伝送でき周波数が高いほど距離が飛ばなくなります。

周波数帯域幅=通信速度

周波数と帯域幅の関係イメージ
周波数と帯域幅の関係イメージ

5G通信は10Gビット通信といわれていますが、なぜWiFiなどで不可能だったのかについてを考えてみると周波数帯を考えると分かりやすいと思います。

上記で説明した通り総務省によってサービスに使用できる周波数帯域は決められています。そのためWiFiやスマホに利用されている2.4GHz帯や5GHz帯は周波数が混んでいるため10Gビット分の情報を埋め込めないという問題があります。

周波数帯域幅はデータ伝送に使われる周波数の幅のことで最高周波数と最低周波数の差になります。帯域幅が広いということは、中心周波数から周波数を調整し電波を分けたときにデータを表現できる幅が広いということになり一度に多くのデータが送信できるようになります。

帯域幅がについては下記リングが分かりやすく解説しておりますので参考にすると理解が深まると思います。

帯域幅(bandwidth)とは「分かりそう」で「分からない」でも「分かった」気になれるIT用語辞典

例えば周波数が28GHzで帯域幅が1GHzとすると実際は27.5GHz(27-0.5)から28.5GHz(27+0.5)の範囲となります。1GHz分に相当するデータの組み合わせで電波をつくれることになり1回の通信で送れる情報が増えることになります。

1回で送れる情報が増えるので通信速度が速いともいえます。そのため周波数帯域=通信速度と言えます。

電波の仕組み

電波の仕組みイメージ
電波の仕組みイメージ

電波は電気を流したときに必ず発生する電場(搬送波)に伝えたい信号を乗せたものです。式で表すと電波=搬送波+伝えたい信号となります。

搬送波に信号を乗せて送信し、受信側で搬送波を除去すると伝えたい信号が受信できるようになります。搬送波がWiFiであれば2.4GHzでありLoRaであれば920MHzであると言えます。

搬送波を中心にして帯域幅をとれるかが通信できるデータ量に関係しています。単純に考えると帯域幅さえ広くできれば高速通信できることになります。

電波は勝手に使用していいわけではなく総務省によってそれぞれのサービスに割り振られています。携帯電話などに使われている800MHz~5GHzの帯域はすでに割り振られているため帯域幅を多くとることができません。

5Gの通信周波数は28GHzの周波数帯を使うことを検討していました。28GHzは宇宙航空用途で使われていますがサービスはほとんどなく空いている状態です。しかし、技術的に難しく5G通信はサブシックス規格による周波数帯域を使用することになります。

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まとめ:2つの技術のコラボが5G普及のカギ

5Gが普及しつつありますが基地局の設置など電波が飛びにくい課題が出てきます。5Gは当初28GHz帯域を使用することで帯域幅を大きく広げることを目的としていました。

電波が飛びにくいことを解決するために以下の2つの技術によるアンテナが開発検討が進んでいます。

  • フェイズドアレイアンテナ
  • ビームフォーミング

技術革新によってより効率の良いアンテナによって電波伝搬ができるようになれば5G通信が標準となり自動運転の基礎になります。現在の技術ではサブシックス規格による5Gとなるため自動運転車の完全なる実現が難しいと言われています。

アンテナを制する者は通信を制するといっても過言ではないため技術革新が起こることを期待しております。

最後まで、読んでいただきありがとうございました。

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