こんにちは、ENGかぴです。
電子回路の設計でLTspiceを使うことで効率よく回路の検証が行えます。そのため他メーカのspiceモデルを追加してLTspice上で使用したいことがあります。LTspiceに他メーカーのspiceモデルを追加する方法をまとめました。
電子回路におすすめしたいシミュレーションソフトであるLTspiceについてできることや有効性について下記記事にまとめています。
電子回路の設計におすすめなシミュレーションソフトLTspice
アナログデバイセズの方針転換により外部メーカーのライブラリの自動登録を廃止したため下記の方法ではspiceモデルを追加することができなくなりました。
代替えの方法として汎用のopamp2を使って他メーカーのspiceモデルを使用する方法をまとめました。
参考資料:と記載している部分は旧バージョンで追加できていた時のものです。
新:LTspiceに他メーカのspiceモデルを使用する方法
最新バージョンでは他メーカーからダウンロードしたspiceデータを任意のフォルダに置き、SPICE Directiveにインクルードでファイルのパスを指定する方法で代替えできます。
spiceモデルを取得する
ルネサスエレクトロニクスのHPからUPC258のページに遷移します。アナログ製品->アンプ->オペアンプ->汎用オペアンプ->UPC258の順に下っていきます。ページトップの検索欄から入力しても下記ページに遷移できます。
下記リンクをクリックすると該当ページに遷移します。
UPC258 高耐圧、Bipolar デュアル・オペアンプ、両電源、低ノイズ、演算増幅回路内蔵、産業機器用途
ソフトウェア/ツールタブからシミュレーションモデル内の「UPC258 Spice Model」をダウンロードして、ファイルを展開すると「UPC258_SPICE.txt」が入っています。
これを任意の場所に配置します。本記事ではC:\WorkSpace\LTspice\userlibに配置したものとして説明します。
シミュレーションで作成したUPC258を汎用的に準備されているopamp2に置き換えて実装します。

opamp2の概要が左上に表示されていますが、使用するライブラリファイルをインクルードしてValueに指定しなければならないと説明があります。

SPICE Directiveを選択するとテキスト入力欄が表示されるので先頭に「.include」(括弧は不要)を先頭に入力し、続けてファイルのパスを””(文字列)で囲んでで入力します。
例では「.include”C:\WorkSpace\LTspice\userlib/UPC258_SPICE.txt”」を入力しています。
OKをクリックするとテキストが配置できるので任意の場所に配置します。次にopamp2のデバイス上で右クリックするとComponet Attribute Editorが表示されるのでValueを変更します。

Valueの値は追加したファイルの.SUBCKTに従った名称にする必要があります。uとUはどちらでも問題ありません。
シミュレーションで動作確認
追加したUPC258の動作確認を行います。回路の作成方法は下記にまとめています。
オペアンプの電源は両電源で±12Vとしています。オペアンプに入力する電圧は波高値が1V、周波数が50Hzの正弦波を入力しています。

非反転増幅回路でゲインが2にしているのでOUTの電圧の波高値が2Vになっていることが分かります。この結果から追加したuPC258が正常に動作していることが確認できました。
以下は旧バージョンによる参考資料になります。
参考資料:LTspiceに他メーカのspiceモデルを追加する方法
spiceデータは部品メーカがシミュレーション用に公開していれば使用することができます。今回はルネサスエレクトロニクス製のオペアンプであるuPC258のspiceデータを取得してLTspiceで使用できるように追加していきます。対象のOSはWindows11です。
本記事は、LTspiceに初期に搭載されているシンボルを流用してspiceモデルを追加する方法を説明していますが、下記記事では自作のシンボルや自動生成で追加する方法をまとめています。
LTspiceでspiceモデルを自作のシンボルや自動生成して追加する方法
spiceモデルを取得する
ルネサスエレクトロニクスのHPからUPC258のページに遷移します。アナログ製品->アンプ->オペアンプ->汎用オペアンプ->UPC258の順に下っていきます。ページトップの検索欄から入力しても下記ページに遷移できます。
下記リンクをクリックすると該当ページに遷移します。
UPC258 高耐圧、Bipolar デュアル・オペアンプ、両電源、低ノイズ、演算増幅回路内蔵、産業機器用途
ソフトウェア/ツールタブからシミュレーションモデル内の「UPC258 Spice Model」をダウンロードして、ファイルを展開すると「UPC258_SPICE.txt」が入っています。

Cドライブからユーザーを選択し、ドキュメントフォルダを下っていくとLTspiceのフォルダが生成されています。
このフォルダから内層に下っていきsubフォルダに「UPC258_SPICE.txt」追加します。
シンボルの選択と作成
オペアンプのシンボルを作成する方法もありますが、既存に登録されているシンボルデータを流用することで簡単にシンボルデータを作成することができます。LTspiceを起動してFileからopenを選択します。

ドキュメントフォルダにあるLTspiceのフォルダから内層に下っていきOpampsフォルダ内にあるopamp2.asyのシンボルを流用するために選択して開きます。
ファイルを開くとアンプのシンボルが表示されますが、元のファイルを編集しないようにファイル名を変更して同一のフォルダに保存します。FileからSave As…を選択して「UPC258.asy」というファイル名で保存します。
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ピンの設定
「UPC258.asy」を開いてピン設定を確認します。ピン設定はViewからPin Tableをクリックして確認します。

「UPC258_SPICE.txt」をメモ帳などで開くとピン情報などspiceデータの詳細が記載されています。Pin Tableを開いて表示されるPin Listとファイルのピン番号が一致しているかを確認します。

ピン設定が一致していれば変更の必要がないので作業する必要はありません。
本記事ではUPC258のファイルとPin Listの番号が一致しているので変更する必要はありません。
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シンボルデータとspiceデータのリンク付け
シンボルデータとspiceデータをリンク付け(ライブラリを登録)する必要があります。LTspiceのAttributesを操作して行います。EditからAttributesを選択するとEdit Attributesが表示されるのでクリックします。

Prefixはデバイスデータの形式を指定します。spiceデータがサブサーキット形式で作成されているのでサブサーキットのシンボルを示す「X」を指定します。流用元のシンボルがXを指定しているので変更は不要です。
SpiceModelはspiceデータのファイルを指定します。追加した「UPC258_SPICE.txt」を入力します。
Valueには回路図エディターに表示する名称を指定します。任意の名前でもよいのですが、部品名が分かるように入力することをお勧めします。

Value2にはネットリスト内で必要とする値で、指定したファイルに定義したサブサーキット名と一致するように指定する必要があります。
Descriptionは何の部品であるかの説明であるため部品の詳細が分かるような記述にしておくとよいと思います。今回はRenesas Opampとして入力しています。
ModeFileはライブラリとしてネットリストに組み込まれるファイル名として使用されるものです。指定する場合はspiceデータが含まれているファイル名です。
シンボルが階層回路図(複数枚に分かっている回路図)で表す場合にシンボルタイプを「Cell」から「Block」に変更した時に設定しておくとサブサーキット名のドロップリストが使用できます。
今回のspiceデータはuPC258のみのデータでサブサーキットで構成されているためブロックとして生成しても回路の簡素化にはならないので指定していません。
SpiceModelまたはModeFileのどちらか一方にライブラリファイルを指定してもシミュレーションはできるようになりますが、CellとBlockで区別する可能性を考えると以下のように区分けしておくことをお勧めします。
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参考資料:ユーザーのフォルダで管理する方法
上記はデフォルトのフォルダに他メーカのspiceモデルを追加する方法を説明しました。
ここではユーザーが作成したspiceデータとLTspiceが管理しているデバイスデータを区別して管理する方法を説明します。
この方法で管理するとLTspiceのデータを移行する際にユーザーが生成したspiceデータの移管が楽に行えます。

追加するspiceデータを管理する「mylib」とシンボルデータを管理する「mysym」を追加しています。
シンボルの作り方は上の項で説明した通りに流用できるシンボルがあればmysymフォルダを指定して名前を「uPC258.asy」として保存します。
spiceデータ(UPC258_SPICE.txt)の保存はmylibフォルダを指定します。

次に、spiceデータのリンク付けを行います。mylibに保存した「UPC258_SPICE.txt」を指定するため/mylib/を追加して指定します。
他の項目の指定方法はシンボルデータとspiceデータのリンク付けの箇所の説明と同じです。Attributesの設定が終わるとシンボルとspiceデータのリンク付けは完了です。
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参考資料:シミュレーションで動作確認
追加したuPC258のspiceデータの動作を確認します。以下はユーザーの管理するフォルダを指定して動作確認を行います。回路の作成方法は下記にまとめています。
回路図エディターでComponentを選択するとデバイスの一覧が表示されます。

デバイスの一覧にUPC258が追加されていることがわかります。またSchmatic Directory:を確認するとmylibが参照されています。
mysymに追加したuPC258を使用して回路を作成しました。オペアンプの電源は両電源で±12Vとしています。オペアンプに入力する電圧は波高値が1V、周波数が50Hzの正弦波を入力しています。

非反転増幅回路でゲインが2にしているのでOUTの電圧の波高値が2Vになっていることが分かります。この結果から追加したuPC258が正常に動作していることが確認できました。
関連リンク
電子回路におすすめしたいシミュレーションソフトであるLTspiceについてできることや有効性について下記記事にまとめています。興味があればご覧ください。
電子回路の設計におすすめなシミュレーションソフトLTspice
最後まで、読んでいただきありがとうございました。


