電子回路の設計におすすめなシミュレーションソフトLTspice

組み込みエンジニア
本記事はプロモーションが含まれています。

こんにちは、ENGかぴです。

電気回路の計算は難しいイメージがあると思います。私も経験が浅かった時は回路を見ても回路に流れる電流を計算したり消費電力を計算したりと苦労をしてきました。今回は回路の電子回路のシミュレーションができるLTspiceについて紹介したいと思います。

LTspiceのインストールの方法を下記記事にまとめています。

LTspiceのダウンロードとインストールの方法

LTspiceの紹介・・メリットとデメリットは?

LTspiceはアメリカの半導体メーカであるアナログデバイセズ社(旧リニアテクノロジー社)が開発した電子回路のシミュレータです。

抵抗・ダイオード・トランジスタ・アンプなどを組み合わせた回路のシミュレーションができます。また、無料で使用できるのも魅力的です。下記リンクでダウンロードできます。

ANALOG DEVICESーLTspice紹介とダウンロード

spiceというのはSimulation Program with Integrated Circuit Emphasis略称で、電子回路のアナログ動作をシミュレーションするソフトのことを言います。

ただ単にspice(スパイス)というと香辛料をイメージされるケースが多いですが、電子回路を設計する業界においてはシミュレータの方になります。

リニアテクノロジーが開発したということで頭にLTをつけてLTspiceとなったようです。LTspiceの最新バージョンはLTspice XVIIです。

シミュレーションを使うことのメリット:

  1. 回路の動作が簡単にできる
  2. 抵抗やコンデンサなどの乗数変更が簡単
  3. 熱計算もできるので過電圧・過電流を想定した検討が可能
  4. 測定器を使用しなくても周波数特性などが分かる

シミュレーションを使うことのデメリット:

  1. 理想モデルであるため部品の完全なる特性とならない
  2. 提供されているモデルの精度に依存する
  3. シミュレーションではうまくいくが実機ではうまくいかないケースがある
  4. 過電圧・過電流でも部品破壊されない(本来なら壊れる使い方としても破壊されずに値が出てしまう)

シミュレーションに頼りすぎると思わぬところで躓くことになりかねないため補助的に使う程度にとどめておいたほうが良いとも言えます。

過電圧・過電流などハード上の制約条件を抑えたうえでシミュレーションを行えば問題にならないことが多いためメリットのほうが大きいと思います。

電子回路に苦手意識があったとしてもシミュレーションであらかじめ検証してから基板製作に移れることからLTspiceを有効利用するメリットは大きいと感じています。

スポンサーリンク

LTspiceでできること

LTspiceでは、spiceデータ(部品の模擬データ)をつかって回路図を作成することで作成した回路図のシミュレーションを行うことができます。スイッチング・レギュレータのシミュレーション(旧リニアテクノロジーが得位置していた分野)を容易にするためのモデル(模擬データ)を搭載しています。

他にも一般的な部品についてもspiceデータが用意されており、それらの中から部品を選択して回路を描いていきます。spiceデータのほとんどがアナログデバイセズとリニアテクノロジー社のものですが、自分が使用した部品に近い特性のものを使用することで十分にシミュレーションができます。

回路設計時によく使用する使い方は、アンプ設計・フィルタの特性をAC特性(周波数特性)を確認するなどが中心です。

半導体メーカもspiceデータを提供していることがあります。LTspiceにおいてもメーカーが提供しているデータをもとにしてspiceデータを取り込んで使用することが可能です。

下記記事ではLTspiceに他メーカーのspiceデータを追加して使用する方法についてまとめています。興味があればご覧ください。

LTspiceに他メーカのspiceデータを追加する方法

広告

LTspiceを使ったシミュレーション

簡単な回路図を作成してLTspiceのシミュレーション結果を見てみます。電源DC5Vとダイオード・抵抗1kΩ×2個を直列につないだだけの回路を作成してみました。

シミュレーションの例(電圧測定)
シミュレーションの例(電圧測定)

下のDraft1.ascが回路図で上のDraft1.rawがシミュレーションの波形になります。シミュレーション波形は回路図のOUTピンの箇所の波形(電圧)を表示しています。

ダイオードは型式指定していませんが、順方向電圧である0.7V程度の電圧降下がシミュレーションに反映されています。これを確かめるためにOUTの電圧を計算してみます。

OUT = ( 5- 0.7(ダイオードの順方向電圧)) ×(R2 /(R1 + R2) )

となるのでこれを計算するとOUT=2.15Vになります。シミュレーションの結果とほとんど同じになっています。次に、回路の電流を見てみます。

シミュレーションの例(電流測定)
シミュレーションの例(電流測定)

回路の電流のシミュレーションにおける電流の表示方法は測定したい部品の上でクランプメータみたいなマークが出たときにボタンを押せば確認できます。電流についても計算してみます。

回路の電流 = ( 5 -0.7(ダイオードの順方向電圧)) ÷ (R1 +R2 )

となるので、回路電流= 2.15mAとなります。シミュレーションとほとんど同じになっていることが分かります。電圧と電流が分かれば部品における消費電力は計算できますが、シミュレーションによって確認してみます。

シミュレーションの例(電力測定)
シミュレーションの例(電力測定)

消費電力をシミュレーションしたい場合は、部品の上にカーソルを合わせてAltキーをおすと温度計の表示が出ます。このときボタンを押せば消費電力の波形が確認できます。消費電力についても計算してみます。

消費電力(R1) = V(R1)×I(R1)

となり、今までの計算結果を反映すると4.65mWになります。シミュレーション結果とほとんど同じになっていることが分かります。

簡単な例でしたが、複雑な回路になるほどシミュレーションの有効性は顕著になってくると思います。

シミュレーションに頼りながら設計することも効率的だと思いますが、理論も抑えたうえで補助的に使用すると良いでしょう。理論あってのシミュレーションであったほうがうまくいかなかったときのリカバリーがしやすいからです。

オペアンプで設計を行って、フィルタとしてコンデンサを追加したときシミュレーション上では良好な結果なのに実際は発振してしまったということもあり得ます。

スポンサーリンク

LTsipiceを使いこなしたい人におすすめしたい参考書

LTspieceは使いこなせるとかなり効率的に設計することができます。LTspiceは年々改善されておりこれからも幅広く使用されていくと思います。

私も仕事でシミュレーションすることがありますが、毎回するわけではないので操作を忘れてしまうことがあります。ネットで調べたりしますが、必要な情報を手早く見つけられる訳ではありません。本書は簡潔に項目分けされており操作したい内容が手早く見つけられるため補助としてお勧めしたい一冊です。

LTspiceの使い方に関する記事をまとめてもよいと思いましたが、どちらかというと組み込みエンジニアとしての観点でハード設計とソフト設計の考え方を中心とした記事を提供したいと考えています。

関連リンク

LTspiceを使用して動作確認したことを下記記事にまとめています。

LTspiceのダウンロードとインストールの方法

LTspiceに他メーカのspiceモデルを追加する方法

LTspiceでspiceモデルを自作のシンボルや自動生成して追加する方法

PR:技術系の通信教育講座ならJTEX

最後まで、読んでいただきありがとうございました。

タイトルとURLをコピーしました