抵抗選定で押さえておきたい定格電力と定格電圧と最高使用電圧

組み込みエンジニア

こんにちは、ENGかぴです。

電子機器は抵抗をたくさん使います。抵抗の使い方を間違えてしまうと消費電力が大きくなってしまい故障の原因になってしまいます。抵抗を使う上で最低限押さえておきたい定格電力と定格電圧及び最高使用電圧について説明しています。

マイコンのDIやDOに接続されるプルアップやプルダウンに使用する際の抵抗値の考え方について下記にまとまています。

マイコンのプルアップとプルダウンの意味と抵抗値の計算方法

抵抗を使ってLEDの順方向電流を制御する考え方についてまとめています。

LEDの順方向電流による明るさの変化と電流制限抵抗の考え方

定格電力とディレーティング

抵抗を使用する際に気を付けておきたいのは定格電力です。定格電力以内であっても使用率(ディレーティング)が高ければ熱を持つため注意が必要です。

定格電力の考え方

抵抗に電流を流すと電力を消費して熱を発生します。規定の温度で抵抗が熱に変換できる最大電力量を定格電力といい単位はWで表されます。

定格電力を超えた場合は抵抗が熱によって煙を発生し焼損する可能性があります。短期間であれば抵抗値を維持できることもありますが多くの場合は破損してしまいます。

定格電力以下で使用していたとしても周囲温度による電力低減も影響するため余裕を持った設計が必要です。抵抗器メーカのKOAのデータシートを使って確認します。

抵抗の温度上昇
抵抗の温度上昇
抵抗負荷軽減曲線
抵抗負荷軽減曲線

RK73Hシリーズの0.1W(1J)を例にして説明します。温度上昇グラフは抵抗の使用率(ディレーティング)に応じての温度上昇の特性が示されています。電力の使用率が50%時を見ると0.1W(1J)においては約20℃上昇することが分かります。

負荷軽減曲線を見ると周囲温度が70℃までは定格の100%までの電力で使用できますが80℃では85%程、100℃では65%程となり最大の155℃になると電流が流せなくなります。

電力規格のB-402では抵抗の温度上昇が40℃以上にならないことが規定されていることもあり、定格電力の余裕を考えての設計が必要になります。

ディレーティングの考え方

部品の最大定格に対する使用率をディレーティングといいます。ディレーティングは回路設計において重要な要素です。定格電力が1/4W(0.25W)の抵抗を0.125Wで使用するとディレーティングは50%になります。ディレーティング計算について2つの例を考えてみます。

ディレーティングの考え方の例

LEDの順方向電圧は約2.0V程度なので抵抗にかかる電圧は3Vとなります。

定格電力を求めると4.2mWとなりディレーティングは0.1Wの抵抗を使用したとするとディレーティングは$$\frac{0.0045}{0.1}×100 = 4.5[%]$$

4.5%となるので十分余裕があるといえます。

ディレーティングの考え方の例2

フォトカプラに電流が流れたときの順方向電圧は約1.1Vなので抵抗にかかる電圧は3.9V程度になります。

定格電力を求めると39mWとなり、1/10Wの抵抗を使用すると39%となります。ディレーティングを3割としたいので1/4Wとした場合、15.6%となり余裕となります。

ディレーティングが可能な限り低くなるように設計することで抵抗の温度上昇を抑えることができます。

定格電力が1Wを超えてくると表面温度が50℃を超えてくることはあるので対策として抵抗を実装するパターンを放熱パターンにしたり熱を逃がすように基板上にカットを入れたりして対策します。

ディレーティングに対する考え方は様々ですが、私の場合最悪の条件を想定した時のディレーティングが50%になるように設計しています。普通の条件下では30%程度を目標にしています。

余裕を持たせすぎるとオーバースペックになるため周囲温度環境や使用状況を考慮に入れてコストと兼ね合いをとることになります。

温度係数

抵抗には温度によって抵抗が変化するため抵抗温度係数が定義されています。この値が低いほど温度上昇に関しての抵抗値の変化は小さくなりますが、抵抗の精度に影響する場合は検討が必要です。例えば抵抗温度係数が100の抵抗を使用した場合20℃での抵抗の変化は0.2%になります。

使用環境状況が-10℃から60℃とし抵抗の発熱で30℃上昇したとすると温度変化量の合計は100℃となり抵抗値の変化は1%になります。厳密に計算する場合は抵抗の変化量をディレーティングを計算することが必要です。

定格電圧と最高使用電圧

引用:KOA抵抗(RK73Hシリーズ)
引用:KOA抵抗(RK73Hシリーズ)

抵抗は定格電力の他に印加できる最高電圧が決まっています。この2つの定義と関係する定義について説明します。以下では各種定義の説明をしますが、オームの法則から算出される消費電力の式\(W=\frac{V^2}{R}\)により求めることができます。

定格電圧

抵抗に連続して印加できる直流若しくは交流(実効値)の最大値を定格電圧としています。定格電圧[V]は定格電力[W]と抵抗値[Ω]の関係から計算されています。$$定格電圧=\sqrt{定格電力×抵抗値}$$この値が定格電圧になりますが、データシート上で提示されている最高使用電圧以上であれば最大使用電圧が定格電圧になります。

例)1000Ω、0.1Wの抵抗の定格電圧
\(\sqrt{0.1×1000} =10[V] \)となります。

例)100KΩ、0.1Wの抵抗の定格電圧
\(\sqrt{0.1×100000} = 100[V]\)となりますが、最高使用電圧が75Vなので定格電圧は75Vになります。

臨界抵抗値

臨界抵抗値とは定格電力を負荷(消費)できる最大の抵抗値のことです。臨界抵抗値においては定格電圧と最高使用電圧が等しくなります。

例)最大75Vまで加えて時の0.1Wにおける臨界抵抗値
\(\frac{75^2}{0.1} = 56.25[kΩ]\)となります。

最高使用電圧

抵抗に連続して印加できる直流若しくは交流(実効値)の最大値を最大使用電圧としています。臨界抵抗値以下では最高使用電圧は定格電圧に等しくなります。

例)20kΩ、0.1Wの抵抗の場合
定格電圧は\(\sqrt{0.1×20000} = 44.7[V]\)となり、臨界抵抗値以下なのでこの定格電圧が最大使用電圧になります。

最高過負荷電圧

JISで定める過負荷試験において5秒間印加可能な最大電圧を最高過負荷電圧と定義しています。通常では、定格電圧の2.5倍で試験しますが、データシートの値は余裕を持って少し小さな値になっています。

例)形名1J、0.1Wの場合
5秒以内であれば最高使用電圧を超える100Vを印加しても破壊しないということになります。

抵抗の使い方の豆知識

抵抗は直列や並列に接続することで様々な値を作ったり定格電力や耐圧が不足した場合でも抵抗の組み合わせにより対応できることがあります。

抵抗の直列接続

抵抗の直列接続

抵抗を直列に接続すると抵抗値はつないだ分だけ増えていきます。

合成抵抗Rとすると\(R=R_1+R_2・・\)というように抵抗を増やした分だけ抵抗は大きくなります。

R1とR2によって電圧Vを分けることを分圧といいます。R1とR2間の電圧は$$V_{12}=\frac{R_2}{R_1+R_2}V$$となります。

抵抗の並列接続

抵抗の並列抵抗

抵抗を並列に接続すると抵抗値は小さくなります。

合成抵抗Rとすると\(R=\frac{1}{\frac{1}{R_1}+\frac{1}{R_2}・・}\)となります。

定格電力や耐圧が足りない場合の組み合わせ方

抵抗を直列に接続すると分圧されることにより1つ当たりの電圧を抑えることができます。並列に接続すると1つ当たりの電流を減らすことができます。これらを組み合わせることで定格電力を調整できるようになります。

定格電力や耐圧が足りない場合の組み合わせ方

100Ωの抵抗が1/4Wしかない状態で1Wの定格電力を作ることができます。

4つの抵抗のうち一つを考えると電圧が半分になっており、電流も半分になっています。

耐圧が足りない場合は直列に抵抗を並べることで目的とする抵抗値を作りながら抵抗の一つ一つにかかる電圧を抑えることで耐圧を確保することができます。

定格電力や耐圧が足りない場合の組み合わせ方2

例では500kの抵抗に250Vがかかることを想定しています。

この場合チップ抵抗で1J(0.125W)を選択すると75Vまでしか電圧をかけることができないため250V印加できません。

例のように100kΩを5つ直列に接続することで分圧し最高使用電圧以下になるようにすることで耐圧を増やすことができます。最高使用電圧以内にできるのであれば100kΩ以外でも問題ありません。

関連リンク

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最後まで、読んでいただきありがとうございました。

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