LEDの順方向電流による明るさの変化と電流制限抵抗の考え方

組み込みエンジニア

こんにちは、ENGかぴです。

LEDは電子機器の表示灯や内部の動作確認等に使用されます。LEDは極性を持ち流す電流によって明るさが変化しますが、過大な電流を流すと発熱し故障してしまいます。LEDの明るさの考え方や順方向電流を制限する抵抗値の選定方法についてまとめました。

LEDが生産中止になりました。代替品を検討していますがそのまま使えそうですか?

最近のLEDは輝度が高いことが多いので明るすぎるかもしれないね。

本記事はLEDの順方向電流を考える際の制限抵抗について説明していますが、LEDの原理を使用しているフォトカプラの発光部に流す電流にも応用できる考え方です。本記事と関連性が高い抵抗の使い方は下記記事にまとめています。

抵抗選定で押さえておきたい定格電力と定格電圧と最高使用電圧

LEDの順方向電流と電流制限抵抗

LEDはダイオードと同じように極性があります。LEDはアノード(A)にプラス電源、カソード(K)にマイナス電源を接続すると順方向電流が流れて点灯します。

直接電源に接続すると過大な電流が流れ発熱し故障してしまうため電流制限抵抗を使用する必要があります。LEDの順方向電流や明るさの考え方について私が最近使用したLED(SLI-343M8C:ローム)を参考にして説明しています。

周囲温度の上限を60℃(60℃を一時的に許容する規格があるため)として考えます。

LEDの順方向電流を考える

LEDを使用する際に押さえておかなければならないのは絶対最大定格です。SLI-343M8Cの順方向電流の絶対最大定格は25℃時において20mAです。許容損失の関係で一瞬超えたとしても直ちに故障しないこともありますが、ダメージを受けて寿命を縮めることになります。

順方向電流の上限は寿命を考えて最大時の8割とすると20mA×0.8=16mAとなります。 ただしこの値は25℃時の値となるため温度変化によるディレーティングについても検討する必要があります。 SLI-343シリーズのデータシートのディレーティングのデータを確認すると周囲温度が40℃を超えた時から順方向電流の最大値が減少していることが分かります。 周囲温度が60℃であるとしたときは約14mA程度になっています。

順方向電流の上限は寿命を考えて最大時の8割とすると20mA×0.8=16mAとなります。

ただしこの値は25℃時の値となるため温度変化によるディレーティングについても検討する必要があります。

SLI-343シリーズのデータシートのディレーティングのデータを確認すると周囲温度が40℃を超えた時から順方向電流の最大値が減少していることが分かります。

周囲温度が60℃であるとしたときは約14mA程度になっています。

60℃環境においても最大の80%のディレーティングで使用するとした時の順方向電流は14×0.8=11.2mAとなります。以上により順方向電流の最大値は11.2mAとなります。

周囲温度による明るさの変化を検討

LEDはFig3のように順方向電流にほぼ比例して明るさが変化します。データシートには順方向電流を一定にしたときの光度について標準値(TYP)と最小値(MIN)が記載されており、SLI-343シリーズでは順方向電流が20mA時に標準で150mcdであり最小で68mcdとなる可能性があります。

引用:SLI-343×8シリーズデータシート(ローム)ー明るさの割合
引用:SLI-343×8シリーズデータシート(ローム)ー明るさの割合

Fig3は順方向電流20mAを基準にして明るさの割合を示したものです。順方向電流を5mAにしたときの明るさの範囲は最低で0.3×68=20.4mcdとなり最高で0.3×150= 45mcdになります。

明るさの誤差が順方向電流5mA流したとき10%(Fig2の0.1分)低く出てしまった場合について考えると順方向電流5mAを流したとしても3mA流したときと同じ程度の明るさになってしまいます。10%に特に意味はありませんが、標準値から大きく外れないだろうという主観です。

LEDは順方向電流を一定にしていてもFig2のように周囲温度によって明るさが変化してしまいます。Fig2によると25℃の時の割合を1.0としたときの割合ですが、周囲温度が60℃になると約0.7になっています。

順方向電流が5mAのまま周囲温度が60℃まで上昇したとすると最低の条件で20.4×0.7=14.28mcdになってしまいます。

周囲温度が60℃になったときに25℃時の明るさ程度に光らせたいのであれば明るさが減少する分を補償する必要があります。

順方向電流5mAに対して10%の誤差が出ていたとすると3mA流したときと同じ明るさになるため、$$3×\frac{1}{0.7} = 4.28[mA]$$となり最低条件で4.3mA以上を順方向電流を流せばよいことになります。10%大きく出てしまった場合は7mA相当になり60℃補償したときは10mAになります。

従って、順方向電流は4.3mA以上10mA以下の範囲以内となり順方向電流の最大値の11.2mA以下なので問題ありません。設計の目安として順方向電流の範囲の平均で明るさの誤差と周囲温度の補償することを考えます。

順方向電流の範囲の平均値を計算すると7.15mAですが、7mAを設計値として考えていきます。

周囲温度が上昇したときのディレーティングのみに注意していれば問題ないと考えています。最近のLEDは効率が良いのか数mAで十分なケースが多いため周囲温度が高くなったときに暗くならないかを確認するだけで十分だと感じています。

最近のLEDは輝度が高いものが多く代替品を選定した際に明るすぎるため抵抗を高くして順方向電流を絞るケースが多くあります。LEDの種類にもよりますが、SLI-343シリーズ(赤、橙、黄緑)を最近使用しましたが2mA程度流していても直接見ると目がチカチカするくらい明るい感覚でした。

順方向電流の制限抵抗の算出

マイコンなどにLEDを接続すると出力電流の上限を超えてしまい負担が大きくなってしまいます。そのため順方向電流を制限するために抵抗を挿入する必要があります。抵抗値の選定方法について説明します。

LEDの順方向電圧と電流の電圧から簡易的に求める

Fig1からLEDに流す順方向電流IFから順方向電圧VFを読み取って電圧源VCCと理想ダイオードの電圧から抵抗の電圧を求めて抵抗に流れる電流を計算します。 抵抗にかかる電圧はV=VCC-VFになるのでオームの法則から抵抗に流れる電流が分かります。

Fig1からLEDに流す順方向電流IFから順方向電圧VFを読み取って電圧源VCCと理想ダイオードの電圧から抵抗の電圧を求めて抵抗に流れる電流を計算します。

抵抗にかかる電圧はV=VCC-VFになるのでオームの法則から抵抗に流れる電流が分かります。

周囲温度が25℃の時に順方向電流が5mAときの明るさを周囲温度が60℃になったときに維持するための順方向電流は上記の計算により7mAであるからFig1からIFが7mA時のVFを読み取るとVF=2.0Vとなります。抵抗に流れる電流は、$$I = \frac{V}{R} = \frac{V_{CC}-V_F}{R}・・(1)$$ となりIが順方向電流IFになるのでVCC=5Vとすると$$R = \frac{V_{CC}-V_F}{I_F} = \frac{5-2.0}{7×10^{-3}}=428[Ω]$$となります。

E24系列で選択すると430Ωになります。電源電圧や抵抗には誤差があるため最悪の条件を検討します。電源電圧が±10%で抵抗の誤差が±5%であったとすると最小の条件は電源が-10%で抵抗が+5%の時なので式(1)から5.50mAになります。

一方最大の条件は電源電圧が+10%で抵抗が-5%の時なので式(1)から8.5mAとなります。順方向電流の範囲である4.3mA以上10mA以下の条件を満たしているので問題ないと言えます。

抵抗の消費電力は問題ないかを確かめる

LEDに流す順方向電流と制限抵抗が決まったら抵抗の消費電流を計算して問題ないかを確かめる必要があります。抵抗の消費電力はオームの法則から簡単に求められます。$$W=V×I_F = I^2_F×R= (7×10^{-3})^2×430 = 0.02[W]$$となります。今回の例では抵抗は1/10W程度のもので十分だとわかります。

データシートの特性図から算出する(参考)

特性グラフから制限抵抗を求める方法
特性グラフから制限抵抗を求める方法

データシートの順方向電圧VFと順方向電流IFの関係図から制限抵抗を求めることができます。手順は以下の通りとなりますが、特性図はDC3.0Vまでしか表示がないので電圧値を延長しています。

  1. 順方向電圧の電圧軸において電源電圧の点を基準とする
  2. 特性図において流したい順方向電流の値(今回は7mA)となる点を確認する
  3. 1と2の点を線で結ぶ
  4. 順方向電流の軸上にある交点の値を確認する

1から4の手順で順方向電流の軸の交点である電流IPを確認すると約13mA程度であることが分かります。この値と電源電圧の値を使ってオームの法則より抵抗値を求めます。$$R=\frac{V_{CC}}{I_P}=\frac{5}{13×10^{-3}}=385[Ω]$$となります。簡易的に求めた結果とほとんど同じになっています。

特性図から求めるにしてもデータシートにはDC3.0Vまでしか表示されていないことも多く、順方向電流軸が対数表示になっていることもあり正確に読み取りにくくことや簡易的に求めた結果と大差がないことから特性図から求める方法はあまり使用しません。

高校の教科書や資格試験の問題でこの方法で一次関数に見立てて説明されているものがありますが、実際業務上ではほとんど使用しないため簡易的な方法の意味が分かっていれば十分だと思います。

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まとめ:LEDの順方向電流は簡易的な方法での計算で十分です

LEDの順方向電流についてデータシートの特性図を例にあげて説明してきました。順方向電流は簡易的な方法である以下の式で簡単に求められます。$$I = \frac{V}{R} = \frac{V_{CC}-V_F}{R}・・(1)$$

順方向電流が決まれば、注意する事項は以下の通りです。

  1. 温度に対するディレーティングは問題ないか
  2. 周囲温度が高くなった時にLEDが暗く見えないか
  3. 制限抵抗の消費電力は問題ないか

最近のLEDは輝度が高く順方向電流を2~3mA程度に絞っても十分明るく点灯することが多くあります。10年くらい前の製品でLEDが生産中止となり代替品を選定する際に明るすぎて制限抵抗を高くすることが多くなってきていると感じています。

順方向電流を絞ることが多くなるため温度によるディレーティングと抵抗の消費電力は気になることが少なくなるため、注意事項2の周囲温度が高くなった時にLEDが暗く見えないかを中心に検討していれば十分だと思います。

関連リンク

LEDの順方向電流を絞るために抵抗を使っていますが、抵抗はLEDの順方向電流を制限することの他にプルアップとプルダウンなど非常に多く使われる部品です。抵抗の使い方について押さえて押さえておきたいポイントについて下記記事にまとめています。

抵抗選定で押さえておきたい定格電力と定格電圧と最高使用電圧

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最後まで、読んでいただきありがとうございました。

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