LPWA通信のメリットやデメリットの特徴とIoTとの関連性

組み込みエンジニア

こんにちは、ENGかぴです。

組み込みエンジニアとして製品開発をしていますが、最近IoT関連の製品の需要が増えてきていると感じています。各種センサーを搭載した製品や無線を使用した製品を開発したことがあります。IoTと親和性が高いLPWAについては今後も需要が拡大していくことが予想されるので勉強のため記事にまとめました。

LPWA通信とIoTとの関連性

LPWAとはLow Power Wide Areaのそれぞれの頭文字をとったものでIoTを実現するため必要な微弱な電波で長距離通信ができる無線技術のことです。LPWAの無線通信規格の構想については実は20年くらい前からあったようですが、当時はローパワーを実現する半導体がなく実現が困難でありました。

半導体の進化に伴って電池でも十分に動作ができる無線モジュールなどが生み出されるようになり再びLPWAが再び注目され始めています。

LPWAが注目されるまでは、BluetoothやZigBeeがメインとなっていました。これらは中距離通信における小電力通信として今後も使用されていくと思いますが、これら2つよりも長距離の通信ができるLPWAによってこれまで不可能であった範囲についても通信が可能になります。

流行り廃りというよりも通信する距離に応じて通信を使い分けることが重要で用途に応じて通信方式を選択する時代となったという側面が強いと考えています。

LPWAの特徴

LPWAの特徴は無線局の免許も通信料も不要で10km~100kmの広域無線通信が可能になることがあります。

自治体によってはベンチャー企業の誘致に積極的なところもあり、一例として福岡市はLPWAの規格の一つであるLoraWANの試験に使用してもよいとフリーで基地局を開放しています。

LPWAの通信周波数は920MHz帯を使用しています。920MHzを使用することにより障害物があっても裏側に電波が回り込みやすく減衰しにくいという特徴によって長距離の通信が可能になります。

WiFiやBluetoothやZigBeeは2.4GHz帯の通信周波数を使用しています。一般的に周波数が高くなるほど電波の反射が起きにくくなり減衰しやすくなるため長距離の通信ができなくなります。WiFiは一般の一軒家の範囲程度しか通信ができません。

BluetoothやZigBeeについては、モジュールが日々進歩しておりかなりローパワーになりながらも距離が伸びていますが、見通しで1~3kmが通信距離としては限界です。

LPWAによって市内の基地局を使用したと仮定して、市街地から都市近郊・農園や牧場・山岳地帯・海上などこれまでのスマホのLTE(4G)でカバーできなかった箇所についても情報を得ることができるようになります。

一般的には基地局対基地局の間の無線通信となりますが、自分で端末と基地局を用意できる規格もあり用途は様々です。LPWAの規格に沿ったELTRESやSIGFOXやLoRaなどのモジュールが販売されており基地局を使わないローカルでのLPWAが実現できます。

LPWAによる通信モジュールが進化を遂たことにより複数のLPWA基地局同士を光ファイバー網で結ぶことで対象区域の拡大が可能となるため市町村・都道府県など区域を問わず日本全体の広域をカバーすることが理論上可能になります。

LPWAのメリットとデメリット

LPWAはIoTと親和性が高い技術ですが、メリットもあればデメリットもあります。デメリットよりもメリットの方が大きいので需要は拡大していくと考えています。

LPWAのデメリット

先にデメリットから注目すると、LPWAはローパワーで長距離の無線通信を行うため低ビット・レートで通信(規格により100bps~50kbps)を行っています。また1回あたりの通信時間を制限することで電力消費を抑えています。

動画や音声データなどを連続して送信することは消費電力の観点から不可能だと言えます。

昨今5G通信が少しずつ盛り上がっていますが、大容量通信の需要もある一方で、LPWAのようにローパワーで長距離通信する需要が高まっています。

5Gについては一部で運用が始まっていますが、5Gの恩恵を受けるのは主に産業界であり4Gでも十分であるため一般ユーザーには浸透にくいと思います。興味があればご覧ください。

5G通信は第4次産業革命であり一般ユーザーに浸透しにくい理由

LPWAに代表されるようにIoTについては一般ユーザーについても恩恵があることなので需要は増えていくと思います。

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LPWAのメリット

上記のようなデメリットはありますが、それ以上にメリットが大きくIoTと親和性が高いと言われています。主に3つのメリットがあります。

  1. ボタン電池1個で通信ができる
  2. センサーとの連動で応用範囲が広い
  3. 無料で端末を追加しても通信料がかからない

センサーからの情報は映像を除くと数バイト程度のデータとなることからセンサーの情報を取得する目的であれば大容量通信は必要ありません。

小電力であるため消費電力をきわめて抑えることが重要になってきます。通信頻度にもよりますが、ボタン電池1個で数年の稼働が可能です。特に商用電源のない環境において無線通信が可能になることはメリットとして大きいです。

センサーとの連動についてですが、GPSデータと連動するしてトラックやコンテナなどの位置情報を把握することができます。登山などのスポーツにおいてGPSを持たせることでもしもの時の位置確認にも使えますし、用途は様々です。

スマート林業やスマート農業にもIoTを実現するために各種センサーが使用されています。林業となると広範囲の管理が必要になることもあることから電源確保が難しい箇所においてGPS搭載して装置への応用ができます。

積算電力メータのデータ収集もスマート・メータなどで検証試験が始まっています。家庭の電力メータと連動してLPWAによって定期的に電力使用量を送信することで検針員が各家庭を回る必要がなくなります。

一番のメリットは通信料がかからないことだと思います。LPWAに対応したモジュールを購入する金額は必要ですが、コストはかなり安く抑えることができます。

LPWAのLoRaモジュールを使用した体験談

LPWA規格の1つであるLoRaについて検証した体験談について記したいと思います。LoRaは技適を受けたモジュールを使用することで、誰でも簡単に実験ができます。

使用したLoRaモジュールについて

LoRaモジュールは、トランジスタ技術という雑誌で紹介されていたもので技適を受けているもので入手性の良さからEASEL社(イーゼル)のES920LRを使用しました。

ES920LRの評価ボード(ES920LRSDK1)が販売されておりそれを使用しています。購入は東京デバイセズ経由です。

東京デバイセズーLoRaモジュール 開発・評価キット ES920LRSDK1 [外部アンテナ型]

この評価ボードには双方向通信ができるようにSMAタイプのλ/2アンテナが2本セットになっておりUSBインターフェースが内蔵されているためパソコン上で通信データを確認することができます。

評価ボードを100均で買えるようなケースに入れてアンテナを外付けしたものを2つ準備して移動しながら通信距離を検証しました。見通し距離の測定はしていませんが、市街地でどの程度の距離が出るのかを確かめての検証です。

ES920LRのカタログ地では外付けアンテナを使用して見通し距離で30kmとなっています。見通し距離なので市街地で建物が密集する場合はどれくらい通信距離が伸びるのか興味がありました。

実験方法と結果

LoRaモジュール(EASEL製)の実験
LoRaモジュール(EASEL製)の実験

建屋の3階の窓際にモジュールを設置しノートパソコンとモジュールをセットとしてTera Termを起動してお互いに通信を行う方法で検証しました。LoRaモジュールについては初期設定のまま実験を行っております。

市街地を道路に沿って歩いていき111を送って建屋側に通信ができていれば建屋の方からは000を送って返事をする方法で確かめました。

通信が届かなかった場合や繋がりにくい時はモジュール側のリトライによって数回送信がされることがありますが、タイムアウトにならない限り通信ができていると判断しています。

実験結果は、約700mでした。設置方法やその他通信設定を変更することでより良い結果が得られる可能性もありますが、同様の実験をZigBeeで行ったところ約350mであったことからZigBeeやBluetoothよりも距離はとれることが分かりました。

検証したのは昨年末であり、この頃は本ブログは存在していないため画像に残しておこうというアイデアがなかったのが残念であります。

私は電気関係の産業用の電子機器を開発しており、今のところ屋内の設備に関しての無線化の需要に限っているので中距離でも十分に通信ができるZigBeeやBluetoothで十分だと感じています。

敷地を超えて必要以上に電波を飛ばすことは望ましいことではないので用途に応じて最適な組み合わせを構築する必要があります。

試してみたいLPWA(ELTRES)

ソニーがLPWAとして無線規格のELTRESを開発しました。この規格によって通信距離が見通しで300kmに到達したというから驚きです。

LPWAなので大きなデータを送信することは難しいのですが、ソニーが開発しているIoTボードのSPRESENSE(スプレッセンス)を使用することで画像解析などの重たい処理をしながらも解析後の結果をELTRESで送信するような使い方ができるようです。

アドベンチャーレースでの実証実験においてもELTRESによって各選手の位置が把握できていたため安全に運営することができた事例もあります。

ELTRESの可能性についてソニーのページにて紹介されていますので興味がありましたら参考にしてください。

日本のIoT化に大革新を起こす新通信規格。 ソニーのLPWAとは。「ELTRES™」の確かな実力。

LoRaモジュールやELTRESにしかできないこともありますし、BluetoothやZigBeeにしかできないこともありますIoTに対応した製品を開発するにあたってはモジュールの特性を活かせるように勉強しておくことが大切であると日々感じています。

関連リンク

IoT社会実現のためにエナジーハーベストによる電源生成やモジュールについて検討した記録と勉強した事項について記事を下記にまとめています。興味があればご覧ください。

エナジーハーベスト技術がIoT社会実現に必須になりえる理由

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最後まで、読んでいただきありがとうございました。

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