トワイライト(TWELITE)で夜間での通信にチャレンジ

組み込みエンジニア
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こんにちは、ENGかぴです。

エナジーハーベストによる電源生成はIoT社会に向けて必要になりえる技術です。トワイライトのソーラー管理モジュールを使って夜間の通信にチャレンジしてみました。実験した方法と検討したことについて記事にまとめました。

下記記事ではトワイライトを太陽光パネルで動作させての検証やソフトをMWSTAGEの環境で開発して無線通信したことなどについてまとめています。

トワイライト(TWELITE)のソフト開発と無線通信でできること

夜間での通信も条件次第で可能!

トワイライトの通信実験を下記記事で行いました。トワイライトのソーラー管理モジュールに付属されている太陽光パネルを使うと室内光においても通信は可能でした。

トワイライト(TWELITE)と太陽光パネルによる通信実験

夜間の太陽光がない状態でも通信が継続するのかを確認してみました。

実験結果

実験前と実験後のターミナルは以下の通りです。

夜間送信実験開始の通信状況
夜間送信実験開始の通信状況
夜間通信実験終了時の通信状況
夜間通信実験終了時の通信状況

実験開始前(23:30)のC2の電圧は2.94Vでしたが、夜間放置して起床時間(7:50)にC2の電圧を測定すると3.3Vでした。ターミナルを確認するとa1の箇所の電圧とも連動していることから通信は継続していました。

トワイライトの下限電圧は2.0VでありC2の電圧が2.0Vを超えていることからも通信は途絶えることなく続いていたことが分かります。ターミナルログを保存しているので確認してもタイムスタンプが600毎に通信データが送られていることが確認できています。

実験を開始してからの電圧の様子をログを見てプロットしました。朝日が見え始める5:30付近で太陽光パネルによる発電が始まり、電気二重層コンデンサのバックアップによる起動から切り替わっていることが分かりました。

実験を開始してからの電圧の様子をログを見てプロットしました。朝日が見え始める5:30付近で太陽光パネルによる発電が始まり、電気二重層コンデンサのバックアップによる起動から切り替わっていることが分かりました。

今回は晴れの日で窓際に設置した場合の結果でしたが、曇りの日で余剰電力が十分にチャージできなかった場合も検討してみたいと考えています。

実験方法

ソーラー管理モジュールのC2+端子とGND間に電気二重層コンデンサを挿入してバックアップ電源とします。

昼間の明るい時間帯に窓際にモジュールを設置し余剰電力をフル充電して就寝時にプログラマのターミナルを起動して通信状況が確認できるようにしておきます。

  1. 電気二重層コンデンサの容量は0.1F
  2. 無線アプリを利用し間欠動作の時限を10分(600000ms)
  3. 窓際に設置(就寝時間23:30に電気を消灯)
  4. 余剰電力が一度でもフル充電になっていることを確認
  5. 就寝前にC2の電圧を測定し、起床時(7:00)に電圧とターミナルを確認
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太陽光パネルで余剰電力を貯める

ソーラー管理モジュールに付属している太陽光パネルはAM-5815(Panasonic)で最大出力電力が6mW(5.2V-1.1mA)となっています。

太陽光パネルは光によってかなり出力が変化するので室内光レベルを超えた晴天の窓際などに設置しないと余剰電力がチャージできない可能性もあります。

晴天時の条件で余剰電力を貯めることを考えていきます。

TWE-EH-Sの動きを確認する

TWE-EH-Sの特徴と動作についてはモノワイヤレス社のHPに公開されているため引用しながら実験の回路図を示します。

TWE-EH-Sの動作について(引用)

≪動作説明≫
① ソーラーパネルのエネルギーは、内蔵のコンデンサーC1(220uF)へ充電されます。
② C1の電圧(VC1)が約2.9V(VON)になると、TWE_VCCがGNDと接続され、TWELITEが動作 を開始します。
③ TWELITEは起動直後、すみやかにDO1(VBOOT)をLowにします。
④ TWELITEは無線送信します。
⑤ 無線送信後、TWELITEはスリープ状態になります。
④’⑤’スリープ復帰後に無線送信をして、再びスリープする動作を繰り返します。
⑥ エネルギーの供給不足により電圧が約2.0V(VOFF)を下回ると、TWELITEは動作を停止し ます。DO1(VBOOT)のLow状態が解除され、状態①へ戻ります。

モノワイヤレス株式会社:https://mono-wireless.com/jp/products/TWE-EH-SOLAR/EH_manual_v016.pdf
モノワイヤレス株式会社引用のTWE-EH-SOLARの動作
モノワイヤレス株式会社:https://mono-wireless.com/jp/products/TWE-EH-SOLAR/EH_manual_v016.pdf

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動作確認

上記引用に従って動作を確認してみました。②の2.9VでONとありますが誤差もあるのか2.75V程度でONすることもありました。ハードでコントロールしているので周辺温度などの影響による誤差なのかもしれません。

また2.0Vを下回っても直ちにトワイライトが動作を停止することはありませんでした。ぎりぎりで動いている状態であり、この時通信タイミングになると電圧がドロップして停止してしまいます。

誤差もあると思いますが、1.92V付近までは動いているように感じました。TWE_VCCとTWE_GNDをテスターで当たっていて気付いた点です。

通信が開始されるとC1間の電圧が0.5V程度ドロップ(電圧低下)します。2.75V←2.23Vのような感じでしたが、瞬時のドロップであるため実際はここまで低下していないことも考えられます。

C1の220uFに並列にコンデンサを挿入し容量を増やすことで電圧のドロップが抑えられそうですが、容量を増やすと起動電圧までのチャージに時間を取られることにもなり、エナジーハーベストによる電源が微弱なものであることを考えるとあまり大きくできません。

余剰電力はC1の電圧が3.3V付近になるとハード上の仕組みが動いてC2に電荷が溜まるようになっているようです。太陽光パネルの最大出力電圧が5Vであることからトワイライトの上限電圧を超えないようにうまく構成されています。

実験する回路図

夜間実験のための回路構成
夜間実験のための回路構成

余剰電力を貯めるためにC2+に0.1Fの電気二重層コンデンサを実装します。電源電圧の情報もログに残したいのでVC2とA1も接続しています。

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電気二重層コンデンサによるバックアップ時間の計算

電気二重層コンデンサを挿入して電源をバックアップすることを考えていきます。バックアップ時間の考え方については下記記事を参考にしてください。

電気二重層コンデンサの静電容量によるバックアップ時間の考え方

電気二重層コンデンサの漏れ電流ILについて考えます。Q=CVとQ=Itの関係から上記記事を参考にして電気二重層コンデンサの容量を0.1Fとすると、$$I_L=\frac{0.1×0.8}{24×60×60}=0.926uA$$になります。これは最悪の条件での値になります。

次にトワイライトの間欠動作について消費電流を考えます。通信出力は23.4mAとなっているのでマージンを持たせて25mAとして計算します。

送信時間は0.1秒を目安にすることがモノワイヤレス社のHPに記載されているのでこの値を参照すると間欠動作を10分に設定した時の平均送信電流I1は以下のようになります。$$I_{1} = 25×0.1×\frac{1}{600} = 0.42uA$$となります。この電流にスリープ時の電流である1.5uAを加えたときの消費電流I2は、$$I_2= 0.42+1.5= 1.92uA$$となります。

モジュールの消費電流と電気二重層コンデンサの漏れ電流分を合わせたものが失われる電流になるので合計の消費電流は\( I = I_L + I_2 = 2.85uA\)となります。Q=Itの関係から$$Q = 2.85uA×s$$となり電気二重層コンデンサの電圧がフル充電の時は3.3Vであったのでトワイライト動作の下限値である2.0Vまでの電位差が1.3VとしてQ=CVの関係から電荷量を求めると$$Q = 0.1 × 1.3$$となることから

$$s = \frac{0.1 × 1.3 }{ 2.85×10^{-6}} = 45614秒 = 760分 = 12.6時間$$となります。

翌日も晴天であるとしたなら12時間あれば次の動作までの時間は稼げることになり、理論上電池レスでの動作が可能になります。

関連リンク

エナジーハーベストはIoT社会実現のために必要な技術であると考えています。電池レスでIoTモジュールが起動できるようになれば応用範囲が広がることが期待できます。エナジーハーベストの検討の一環として検討しているトワイライト(TWELITE)に関する記事をまとめています。興味があればご覧ください。

エナジーハーベスト技術がIoT社会実現に必須になりえる理由

トワイライト(TWELITE)のソフト開発と無線通信でできること

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最後まで、読んでいただきありがとうございました。

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