電子回路の回路図の書き方で押さえておきたい9つのポイント

ノウハウ(体験談)

こんにちは、ENGかぴです。

電子回路の回路図の書き方には様々なルールがありますが、慣れていないと配線が見にくくなったりマイコンのピン配置が整理できず見にくくなってしまうことがあります。私が苦労した経験をもとに最低限押さえておきたいポイントをまとめました。

回路図の書き方で押さえておきたいポイント

回路図の書き方について押さえておきたいポイントについてまとめていきます。

  1. データシートの表記の配置に合わせる必要はない
  2. マイコンの機能は割り当てた機能のみを記載する
  3. 部品の型式は特殊なものだけでよい
  4. 部品の出力が衝突しないように配置する
  5. 配線の接続は一転に集中しないようにする
  6. 電源の配置は専用ピンを使用する(信号線のように伸ばさない)
  7. 電源は高い電圧から上に配置する(バラバラに配置しない)
  8. グランドの一転接続時の注意事項
  9. プルアップとプルダウンはDIの近くに配置

JIS規格に可能な限り準拠するように回路図を作成していますが、完全に網羅できているわけではありません。JIS規格に準拠しながらも所属する組織によって表記に関するルールが決められている場合がありますので必要に応じて表現を置き換えながら参考にしていただければと思います。

データシートの表記の配置に合わせる必要はない

回路に合わせてピン配置を変更した例

データシートは実際のパッケージに合わせてブロックの左上から反時計回りになるように1ピンから順に配置されています。

データシートの表記に必ずしも合わせる必要はなく回路図が見やすいように配置して問題ありません。

8ピン程度のマイコンであれば配線が交差しても見にくくなることは少ないのですが、64ピンを超えてくると機能ごとにまとめたりしなければ見にくい回路図になってしまいます。

回路図は左から右に上から下に読めるようなイメージするとよく、入力が左側、出力が右側になるようにすると分かりやすくなります。

回路図の作画のイメージ

例えば入力ピンをマイコンのブロックの左側に配置し右側には出力ピンを配置すると入力と出力が見やすくなります。

左上から横に見て視点を落としてZを書くようにドキュメントを確認することが多いことに由来したものです。

PIC12F675でマイコンの機能について記事で紹介していますが、回路図はイメージしやすいように簡略化して書いています。製品化する場合の回路図では入力と出力を分けて回路図を書いています。

マイコンの機能は割り当てた機能のみを記載する

マイコンで使用する機能のみ記載

マイコンは様々な機能がありピンを共用しているため1つのピンに対して割り当てることができる機能がすべて記載されています。

この中から製品の仕様に応じてピンの機能を選択していくことになりますが、回路図上ではどの機能で使用しているかが一目で確認できるように書くことが望ましいといえます。

組み込みエンジニアで回路担当とソフト開発担当で別れて作業する場合はマイコンの機能の割り当てについてはお互いに確認しておく必要があります。

お互いの誤解を防ぐためにも回路図には割り当てている機能のみの記載にするほうがよいでしょう。

部品の型式は特殊なものだけでよい

抵抗やコンデンサは回路図を書くにあたってよく使う部品です。型式をすべて書こうとすると回路図が文字で埋まってしまい大変見にくいものになってしまいます。

部品の用途が分かるようなものに関しては回路図と合わせて部品リストを作成することになるので特殊な使い方をしていない限り記載する必要はありません。回路図において多く使う抵抗とコンデンサについて記載のポイントは以下の通りです。

抵抗の記載ポイント:

  • 抵抗値(100、1k、10k、100k)
  • ワット数(1/10W、1/8W、1/4W、1/2W、1Wなど)
  • 精度(±5%、±1%など)

コンデンサの記載のポイント:

  • 容量値(0.1u、1u、10u、100uなど)
  • 定格電圧(6.3V、10V、16V、25V、35V、50Vなど)

回路が理解できる程度に最低限の記載にすることがポイントです。

部品の出力が衝突しないように配置する

部品の出力が衝突した場合の例

マイコンやロジックICなどは入力ピンと出力ピンがあります。基本的には入力ピンと出力ピンがセットになるように配線していきます。

CMOS出力の場合において出力ピンと出力ピンを接続しそれぞれのピンからHレベルとLレベルを出力されると短絡状態となりマイコンが故障する可能性があります。

複数の出力ポートをつなげてしまうとH出力とL出力が異なる出力を出そうとして衝突してしまいます。

マイコン内部はイラストのようにトランジスタでトーテムポール接続されておりHレベルとLレベルを出力しています。

Hレベルを出力する出力ポート1はHレベル側のトランジスタがONになり、電流を出します。Lレベルを出力する出力ポート2はLレベル側のトランジスタがONになり、電流が流れます。結果として出力ポート1から出力ポート2に電流が流れます。

この間には抵抗はほとんどないので非常に大きな電流が流れます。トランジスタが劣化したり発熱したりして故障してしまう可能性があります。

配線の接続は一転に集中しないようにする

配線の接続は一転に集中しないようにする例

回路図を書いていると配線が繋がっていることを表現するために黒丸●でつながっていることを示すことがあります。

配線が交差しており接続していない場合は●は必要ありません。

配線が一転に集中すると配線が密集して見にくくなってしまいます。配線が見にくいことによってミスにもつながることもあるので注意が必要です。

配線を接続する際には、一転に集中しないようにするために接続する箇所をずらすように接続すると良いでしょう。

電源の配置は専用ピンを使用する(信号線のように伸ばさない)

電源の配置は専用ピンを使用する例
電源の配置は専用ピンを使用する例

使用している回路図CADによっては電源専用ピンが準備されています。OrCADを例にすると回路図シミュレータであるPspiceのために専用ピンがあります。電源を配線するときは専用ピンを使用することが推奨されています。

外部から電源を引っ張ってくる場合はコネクタなどから直接配線しても回路図上は成り立ちますが、ネットリストを生成したときに配線が分離してしまうなど問題が生じることがあります。

ページをまたがって信号線を伸ばした場合(オフセットコネクタ)などで電源を指定した場合もネットリストが分離してしまう原因になります。

電源は専用ピンを使用し可能な限り配線が長くならないようにすることがネットリストの生成の問題の解決や回路図の見やすさから電源と信号線を区別するためにも専用ピンを使うことが重要です。

電源は高い電圧から上に配置する(バラバラに配置しない)

電源の配置の説明
電源の配置の説明

電源はバラバラに配置すると回路図が見にくくなります。電源の表現方法は〇を使うものや電源ポートのように線で表現するものがありますが、どちらの表現を使ったとしてもバラバラに配置すると間違いのもとになります。

回路図CADを使っているとネットリストが生成されるためネットリスト上は問題になりませんが、可読性が下がるためOKな例のように上から電圧が高くなるように回路図を書くようにするとよいでしょう。

グランドの一転接続時の注意事項

一転接続の例

電源のグランドはアナログ回路とデジタル回路間のノイズ対策のためグランドを分けて配線することがあります。

配線する際にグランドを区別しますが最終的に一転接続することで共通のグランドとします。

一転接続なのでデジタル回路のグランド(GND)とアナログ回路のグランド(AGND)をそのまま接続してもよいのですが、ネットリストがうまく分離できなくなることがあります。AGNDであることが望ましいグランドがGND側に接続されたりなどです。

ネットリスト上区別しながら一転接続を保つ方法の一つとして0Ω(ジャンパー抵抗)抵抗を実装することが有効です。抵抗の両端でネットリストが完全に分離することができます。

ジャンパー抵抗を使用するとわずかに抵抗値が生じるため最大許容電流にあったものを選定する必要があります。RK73Zシリーズ(KOA)などから用途に応じて選択するとよいでしょう。

プルアップとプルダウンはDIの近くに配置

プルアップ/プルダウンの例

マイコンやロジックICのDIに何も接続しない場合、入力電圧が浮遊してしまい出力が安定しなくなってしまいます。

使用しないDIピンはデータシートに電源またはGNDに接続することが推奨されていますが、使用する場合でもDIが安定しない期間があるとDIの誤判定により出力不良となる場合があります。

DIを電源側に抵抗を介してHIGHレベルに固定することをプルアップといいGND側に抵抗を介してLOWレベルに固定することをプルダウンといいます。

DIを入力レベルを安定させるために実装するものなのでDIピンの近くに配置することが推奨されます。

プルアップやプルダウンを行う意味や抵抗値の計算方法については下記記事にまとめています。

マイコンのプルアップとプルダウンの意味と抵抗値の計算方法

回路図の書き方についての質問

回路図を読んだり書いたりすることはエンジニアには必要なスキルです。回路図の書き方について過去の経験をもとに説明してきました。この記事をまとめてみようと思ったきっかけは後輩とのやり取りからです。

回路図を作りました確認してください。

ん~、配線がかなり交差してますね。ここは繋がっているなら●をつけないといけないね。それと、入力は右側にもってきて出力は左側にしたほうが見やすくなると思うよ。

データシートの配置の通りにしなくてもいいのですか?

データシートの配置に必ずしも従う必要はありません。回路図が見やすくなるようにピンの配置は変更してもいいですよ。

そうなんですか、知りませんでした。修正してきます!

回路図に慣れていなかったころ私も同じような質問をしていたことを思い出しました。回路図に慣れていない初心者からしてみるとピン配置の検討した経験がないことからデータシートの配置のまま回路図を書く必要があると勘違いをしてしまったのだと感じました。

今後も過去の経験を思い出しながら回路図の書き方に関して気になった点につい追記していきたいと考えています。

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最後まで、読んでいただきありがとうございました。

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